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全日本吹奏楽コンクール課題曲公募(朝日作曲賞)(I〜IV枠)の標準音域表の変遷を考察する

(2014年12月31日追記:第26回朝日作曲賞の公募要項は2014年12月16日に発表された。当年度からの変更点として応募料1万円が新たに課されることになったが、音域等の音楽内容に関わる変更はない。)

今回のLilyPond特集と直接の関係はないが、朝日作曲賞の音域についてデータを蒐集する機会があったので、まとめておく。

標準音域表の概要とデータの出典

データの出典はいずれも、過去の朝日作曲賞公募において全日本吹奏楽連盟の公式ウェブサイトに掲載された公募要項(PDFファイル)である。

ただし「各年の募集期間」が終わると、連盟のサイトからは公募要項が抹消されてしまい、過去の要項を公式に入手する手段がない。そのため筆者の手元にデータが保管されていた、2005–2014年(第16回から第25回まで)の公募要項のみが解析対象となる。

断っておくが本稿で扱うのはあくまで標準音域表であり、実際に課題曲として採用された作品の音域ではない。この二者に大きな乖離があることは関係者なら御存知だろうが、高度に政治的な問題であり、私はこれについてコミットしたくない。

標準音域表(1999–2012 and 2013+)

さっそく実際のデータの紹介に移ろう。まずは1999年に制定され、2013年(第24回朝日作曲賞)の改訂まで使われたバージョン。

表の見方であるが音高はドイツ音名で、さらに右端の8列はそれをMIDIノートナンバーに直したものである(計算に用いる場合はこちらが便利)。また「基本」「瞬間」とあるのは、標準音域表において通常用いられ得る音域に加えて、「瞬間的に可」とされる若干広めの音域が、括弧書きで定義されている場合を示す。

2012年までの音域
パート 調 譜表 編成 記譜音下限 記譜音上限 実音下限 実音上限 記譜音下限 記譜音上限 実音下限 実音上限
楽器 Part in 実-記譜 A B 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間
Picc. C 12 Treble 1 1 E4 D4 G6 A6 E5 D5 G7 A7 64 62 91 93 76 74 103 105
Fl. C 0 Treble 1 1 E4 D4 G6 A6 E4 D4 G6 A6 64 62 91 93 64 62 91 93
Ob. C 0 Treble 1 0 D4 C4 B5 C6 D4 C4 B5 C6 62 60 82 84 62 60 82 84
Bsn. C 0 Bass 1 0 C2 C2 C4 D4 C2 C2 C4 D4 36 36 60 62 36 36 60 62
Es Cl. Es 3 Treble 1 0 F3 E3 D6 E6 As3 G3 F6 G6 53 52 86 88 56 55 89 91
Cl. B -2 Treble 1 1 F3 E3 D6 E6 Es3 D3 C6 D6 53 52 86 88 51 50 84 86
A. Cl. Es -9 Treble 1 0 F3 E3 D5 G5 As2 G2 F4 B4 53 52 74 79 44 43 65 70
B. Cl. B -14 Treble 1 1 F3 E3 H4 F5 Es2 D2 A3 Es4 53 52 71 77 39 38 57 63
A. Sax. Es -9 Treble 1 1 D4 C4 C6 D6 F3 Es3 Es5 F5 62 60 84 86 53 51 75 77
T. Sax. B -14 Treble 1 1 C4 C4 A5 B5 B2 B2 G4 As4 60 60 81 82 46 46 67 68
Bar. Sax. Es -21 Treble 1 1 C4 B3 F5 G5 Es2 Des2 As3 B3 60 58 77 79 39 37 56 58
Tp. B -2 Treble 1 1 A3 A3 G5 A5 G3 G3 F5 G5 57 57 79 81 55 55 77 79
Hr. F -7 Treble 1 1 A3 A3 F5 F5 D3 D3 B4 B4 57 57 77 77 50 50 70 70
Tb. 1/2 C 0 Bass 1 1 C3 C3 F4 F4 C3 C3 F4 F4 48 48 65 65 48 48 65 65
Tb. 3 C 0 Bass 1 1 F2 F2 F4 F4 F2 F2 F4 F4 41 41 65 65 41 41 65 65
Euph. C 0 Bass 1 1 F2 F2 F4 G4 F2 F2 F4 G4 41 41 65 67 41 41 65 67
Tu. C 0 Bass 1 1 B1 G1 C3 Es3 B1 G1 C3 Es3 34 31 48 51 34 31 48 51

Copyright ©1999 by All Japan Band Association (Tokyo, Japan)
著作権法第32条に基づく研究目的での引用

※なお標準音域表には、コントラバスおよびティンパニ等の打楽器類は含まれていない。

一方、2013年の第24回朝日作曲賞公募要項から使用されている、改訂バージョン(コピーライト表示は2012となっており、2012年中に改訂が実施されたようだ)の音域表は以下である。

2013年からの音域
パート 調 譜表 編成 記譜音下限 記譜音上限 実音下限 実音上限 記譜音下限 記譜音上限 実音下限 実音上限
楽器 Part in 実-記譜 A B 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間 基本 瞬間
Picc. C 12 Treble 1 1 E4 D4 G6 A6 E5 D5 G7 A7 64 62 91 93 76 74 103 105
Fl. C 0 Treble 1 1 E4 D4 G6 A6 E4 D4 G6 A6 64 62 91 93 64 62 91 93
Ob. C 0 Treble 1 0 D4 C4 B5 C6 D4 C4 B5 C6 62 60 82 84 62 60 82 84
Bsn. C 0 Bass 1 0 C2 C2 D4 Es4 C2 C2 D4 Es4 36 36 62 63 36 36 62 63
Es Cl. Es 3 Treble 1 0 E3 E3 D6 E6 G3 G3 F6 G6 52 52 86 88 55 55 89 91
Cl. B -2 Treble 1 1 E3 E3 D6 E6 D3 D3 C6 D6 52 52 86 88 50 50 84 86
A. Cl. Es -9 Treble 1 0 E3 E3 F5 G5 G2 G2 As4 B4 52 52 77 79 43 43 68 70
B. Cl. B -14 Treble 1 1 E3 E3 F5 G5 D2 D2 Es4 F4 52 52 77 79 38 38 63 65
A. Sax. Es -9 Treble 1 1 D4 C4 D6 Es6 F3 Es3 F5 Ges5 62 60 86 87 53 51 77 78
T. Sax. B -14 Treble 1 1 C4 C4 C6 D6 B2 B2 B4 C5 60 60 84 86 46 46 70 72
Bar. Sax. Es -21 Treble 1 1 C4 B3 F5 G5 Es2 Des2 As3 B3 60 58 77 79 39 37 56 58
Tp. B -2 Treble 1 1 A3 A3 G5 A5 G3 G3 F5 G5 57 57 79 81 55 55 77 79
Hr. F -7 Treble 1 1 A3 A3 F5 F5 D3 D3 B4 B4 57 57 77 77 50 50 70 70
Tb. 1/2 C 0 Bass 1 1 F2 F2 F4 G4 F2 F2 F4 G4 41 41 65 67 41 41 65 67
Tb. 3 C 0 Bass 1 1 F2 F2 D4 D4 F2 F2 D4 D4 41 41 62 62 41 41 62 62
Euph. C 0 Bass 1 1 F2 F2 F4 G4 F2 F2 F4 G4 41 41 65 67 41 41 65 67
Tu. C 0 Bass 1 1 B1 G1 Es3 F3 B1 G1 Es3 F3 34 31 51 53 34 31 51 53

Copyright ©2012 by All Japan Band Association (Tokyo, Japan)
著作権法第32条に基づく研究目的での引用

新しい表の中で、地色を黄色で塗ったセルが、音域に変更があった箇所を示す。これらは2013年以降、(トロンボーン3番を除き)いずれも音域が「拡大」している。各楽器については、次の章で変更点を解説する。

標準音域表における各楽器の変更点

ファゴットについて

2013年以降、最高音がC4からD4に「拡大」している。最低音はC2のまま。私自身がファゴット経験者なので、少し詳しく解説する。実際に演奏可能な最低音は、さらに2半音下のB1(ベー)である。ファゴット歴1日のド素人でもF2くらいまでなら音を出せるし、2〜3ヶ月もすればB1まで吹けるだろう。実際、吹奏楽曲でよくある変ホ長調(つまりBがトニック)の曲では、強奏部においてファゴットにB1で伸ばしを入れる譜面が頻出する。この点において標準音域表は、吹奏楽のファゴットにとって極めて重要な音である最低音が入っておらず、不満が残る。

ただしB1からE2までの最低音域は楽器の構造上、ピアニッシモでの演奏が極端に困難なのも事実だ(チャイコフスキーの交響曲第6番第1楽章は、これが原因で問題になっている例)。

逆に最高音のD4だが、これは実質、ファゴットの魅力たる高音域を切り捨てている。ちなみにストラヴィンスキー以降の現代曲ではD5あたりまで標準的に使われるし、中高生でもG4までならほぼ音は出る。ただしD4以上では指回りが悪くなり、音量も出ない(高音域で大音量を出せないのはダブルリード楽器に共通の欠点)。ピッチも楽器の個体差によって大きく狂いやすい。またB4以上の高音を安定して出すには、リード側の調整も必要。

「楽器を始めて1-2年程度の生徒でも演奏できる技術的にやさしく、親しみやすい旋律のもの。高度な技術を要するパッセージ・困難な音域・特殊な奏法は避けること」という朝日作曲賞の建前に則れば、ファゴットの高音域は活かしようが無いのだろう。しかし、この教育的配慮が却って吹奏楽の芸術表現を狭めてしまっていることは声を大にして主張したい。

クラリネットについて

クラリネット属の全楽器で、記譜音の最低音が2013年以降、全て音域がF3からE3に「拡大」している。これに伴い、Bフラット管の(普通の)クラリネットでは実音の最低音がD3、Bフラット管のバスクラリネットではD2となっている。まあ実用上は大抵の吹奏楽曲に対応できるだろう。

2014年現在、Bフラット管の(普通の)クラリネットにおいて、実音の最高音はC6である。フルートとユニゾンさせる場合はもう少し上まで欲しいが、まあリードミスの危険性を考えると仕方ないね。バスクラリネットはなぜかEs4まで出る。つまりファゴットより高音域が広いのだが、課題曲どころか一般の吹奏楽曲でも、そんなに上まで使うのかは不明。

アルトクラリネットの音域は実用上、テナーサックスと同じであると考えてよい。中小編成の吹奏楽でアルトクラリネットに独立した動きを持たせることは殆どないので、まあ補強と割り切って同じ音を置くのが無難でしょうね。

サクソフォンについて

アルトサックスにおいて、実音の最高音が2013年以降、Es5からF5に「拡大」している。また瞬間的にはGes5まで出せる。実音の下限はF3なのでちょうど2オクターブ。これは実質、トランペットと完全に同じ動きを担わせられることを意味する。また歌モノのメロディも大体この範囲に収まるので、メロディ楽器としてかなり自由度は高いと言えるだろう。ソロ楽器としてはこれ以上の高音域も平気で使うのだが、まあ標準的な生徒が音量をコントロールできる音域としてはF5が関の山か?ちなみにソプラノサックスは全く編成に入っていないのが残念だが、これまた制御が難しい楽器なので仕方ないか。

テナーサックスの実音の最高音も、2013年以降、G4からB4に「拡大」している。実音の下限はB2(楽器の構造上の最低音はAs2)で、これまたちょうど2オクターブ。ちなみにこの最低音はホルンよりは低いが、ユーフォニアムのF2やファゴットのC2よりもずっと高い。

トロンボーンについて

この楽器のみ、パート(1,2)と(3)の間で大きく扱いが変わっているので注意。古い音域表では1stと2ndの音域がC3からF4まで、3rdがF2からF4までとなっていて、つまりパートにより下限が異なる。ところが改定後の音域表では1stと2ndがF2からF4まで、3rdがF2からD4までとなっていて、今度は上限がパートによって異なる。

咄嗟に思い浮かぶのは、「トロンボーン3番」=「バストロ」なのかな?という想定だ。吹奏楽連盟はこの点を要項に明記しておらず、2ちゃんねるの朝日作曲賞スレ等でも時々問題とされている。連盟が別々の種類の楽器を想定していることを、この音域表が暗に示唆していると考えればワカリヤスイ。

と思いきや最低音であるF2は、実用上はバストロンボーンのみならず、テナートロンボーン(Fアタッチメント無し)でも問題なく出せるらしい。参考:トロンボーン奏者・村田厚生氏による奏法解説のページ。かたやバストロンボーンでも、スタミナ面を重視しなければF4は通常音域と言えよう。だったらこの不可解な音域変遷は何なのさ、と頭を抱えてしまう。

ただし、トロンボーン3本でハーモニーを作ることを念頭に置く場合、旧音域でも新音域でもさほど事情は変わらないと言えるだろう。というのも、トロンボーンの低音域を3度などで重ねると響きが濁ってしまう手前、2ndがC3よりも下のポジションで和音を構成することは決して多くないためである。同様に、バストロンボーン協奏曲でも作らない限りは、3rdがD4よりも高い音を出すシチュエーションもこれまた稀だろう。つまり答えは「ボーン3本で奇麗なハーモニーを作りたいなら標準音域表は真面目に考えても無駄無駄ァ」

               . -―- .      やったッ!! さすが吹連!
             /       ヽ
          //         ',      おれたちにできない事を
            | { _____  |        平然とやってのけるッ!
        (⌒ヽ7´        ``ヒニ¨ヽ
        ヽ、..二二二二二二二. -r‐''′     そこにシビれる!
        /´ 〉'">、、,,.ィ二¨' {.  ヽ     _ _      あこがれるゥ!
         `r、| ゙._(9,)Y´_(9_l′ )  (  , -'′ `¨¨´ ̄`ヽ、
         {(,| `'''7、,. 、 ⌒  |/ニY {              \
           ヾ|   ^'^ ′-、 ,ノr')リ  ,ゝ、ー`――-'- ∠,_  ノ
           |   「匸匸匚| '"|ィ'( (,ノ,r'゙へ. ̄ ̄,二ニ、゙}了
    , ヘー‐- 、 l  | /^''⌒|  | | ,ゝ )、,>(_9,`!i!}i!ィ_9,) |人
  -‐ノ .ヘー‐-ィ ヽ  !‐}__,..ノ  || /-‐ヽ|   -イ,__,.>‐  ハ }
 ''"//ヽー、  ノヽ∧ `ー一'´ / |′ 丿!  , -===- 、  }くー- ..._
  //^\  ヾ-、 :| ハ   ̄ / ノ |.  { {ハ.  V'二'二ソ  ノ| |   `ヽ
,ノ   ヽ,_ ヽノヽ_)ノ:l 'ーー<.  /  |.  ヽヽヽ._ `二¨´ /ノ ノ
/    <^_,.イ `r‐'゙ :::ヽ  \ `丶、  |、   \\'ー--‐''"//
\___,/|  !  ::::::l、  \  \| \   \ヽ   / ノ

チューバについて

チューバの実音の最高音は2013年以降、C3からEs3に「拡大」している。また瞬間的にはF3まで出せる。実音の下限はB1なので、1オクターブ半にギリギリ達しない程度。そもそもの音域が狭すぎるので、まともなパッセージをチューバに担当させられない状況は、さほど変わらない。

朝日作曲賞公募要項における文章記述の変更点

さて、年と共に変わっているのは添付の音域表だけではない。実のところ公募要項において、文章の記述そのものも少しずつ変遷している。

第16, 17, 18, 19, 20, 21回

  • 楽器を始めて1-2年程度の生徒でも演奏できる技術的にやさしく、親しみやすい旋律のもの。
  • 高度な技術を要するパッセージ・困難な音域・特殊奏法は避けること。

第21回(2010年3月公募分)

この年の公募から、MIDI音源の添付が参考として開始。

第22回(2011年3月公募分)

  • 楽器を始めて1-2年程度の生徒でも演奏できる技術的にやさしく、親しみやすい旋律のもの。
  • 高度な技術を要するパッセージ・困難な音域・特殊な奏法は避けること。

この年から3段階審査になり、2次審査のMIDI音源送付が義務化された。公募要項については最初の行に、わざと「(今回から変更になる事項があります)」と但し書きがある。さらに注意すべきは「特殊奏法」→「特殊な奏法」と言い換えがあること。これはおそらくだが、音楽理論上の特殊奏法の定義を用いるのでなく、吹連側で恣意的に判断する余地を与えたものだろう。

第23回(2012年3月公募分)

  • 楽器を始めて1-2年程度の生徒でも演奏できる技術的にやさしく、親しみやすい旋律のもの。
  • 高度な技術を要するパッセージ・困難な音域・特殊な奏法は避けること(標準音域表を参照すること)。

本年に至って初めて、公募要項の本文内に「標準音域表を××すること」という文言が登場する。それまでは、ただ末尾のページに音域表が添付されていただけだった。

第24回(2013年3月公募分)

  • 楽器を始めて1-2年程度の生徒でも演奏できる技術的にやさしく、親しみやすい旋律のもの。
  • 高度な技術を要するパッセージ・困難な音域・特殊な奏法は避けること(標準音域表を厳守すること)。

さらに文言が変化。「標準音域表を厳守すること」という、最も厳格な指定がおこなわれ、御丁寧に下線まで入っている。なお、実際には波下線である。そして最初に述べたように、この回の公募から、標準音域表の中身が改訂されている。

第25回(2014年3月公募分)

  • 楽器を始めて1-2年程度の生徒でも演奏できる技術的にやさしく、親しみやすい旋律のもの。
  • 高度な技術を要するパッセージ・困難な音域(標準音域表を参照)・特殊な奏法は避けること。
  • ※公募要項に準じていない場合は、審査対象外とすることがある。

一転して「参照」に戻った。そして「審査対象外」云々の一文が、新たに加わった。

これらの変遷から、われわれは何を読み解くべきか。最大のメッセージは、使用可能な音域を限定しようという運動が一貫して続いていることだろう。もともと標準音域表なるものが登場した背景には、1990年代の課題曲が公募・委嘱作いずれにおいても、演奏技術的に極めて高度化したことに対する、吹連内部での反発があったという(現在手元に資料が無いため示せないのだが、1998-99年頃のBand Journal誌にこの辺りの経緯が記されている)。

ただし実際に「標準音域表を参照すること」という文言が要項に明記されたのは、ずいぶん時代が下った2012年である。ここからの(最近)3年間は、毎年記述が変更され、まさに朝令暮改の勢いだ。水面下で何らかのせめぎ合いが起こっていることは想像に難くないが、私が吹奏楽の現場を離れてから10年以上経つので、事情を知る術がないのは残念である。

まあ性懲りも無く課題曲公募に出し続けている側としては、とにかくその年の要項を熟読し、従うより他にない。採用基準として、楽曲の芸術的内容を問うとは明記されていない以上、応募者はひたすら傾向と対策を実施し、減点されない曲を書くのが採用への近道なのだろう。一歩間違えば採用楽曲レベルの縮小再生産を招きかねない政策だが、筆者が中の人でなく、意見受付の窓口も存在しない以上、如何ともし難い。