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なぜ泥棒猫とは云ふのに泥棒犬とは云はないのだらうか

ホーム | 雑記トップ | デジタルカメラに求める条件(2012年3月編)

主にフィールドでの記録に用いていたカメラ(Pentax Optio WPi)について、電池の消耗がつとに速くなった上、接触不良が頻発するようになったので買い替えることにした。あくまで本稿に書いてあるカメラの選択基準は、個人的都合のみに基づくものなので、鵜呑みにしないように。

絶対に満たすべき仕様

  1. ポケットに無造作に突っ込めるサイズ
  2. シャッタースピード優先AF
  3. マニュアルフォーカス
  4. 高感度(ISO1600以上が実用になる)
  5. 広角対応(35 mm換算で28 mmから、できれば24 mm)
  6. SDカード対応

今回は、フィールドワークおよび日常生活の両方に常用できるセカンド機(どこぞのJSFみたいなもんですね)ということで、携帯性を最重要視した。この時点で、一眼レフおよびミラーレス一眼は対象外となる。個人的には、顕微鏡等への小口径マウントを介した接続を考えると、ミラーレス一眼の使い勝手は魅力だったのだが、いかんせんレンズの側が大きすぎる。本格的な旅行ならともかく、裏山へダニを採りに行くだけで一眼レフとミラーレスの2台を首からぶら下げるのは御免だ。
だったらケータイのカメラでええじゃないかという意見は当然出てくるだろう。しかし電話は真にカメラたり得ないと、筆者は考えている。なぜならば、通話しながら同時に写真を撮影・閲覧することはできないし、兼用ではバッテリーの消耗も激しい。そして何より、携帯電話のカメラではマニュアル撮影ができない。

森林で生物調査を行うにあたり、AFが上手く働かない薄暗がりでも強制的にシャッターを切れるかどうかは死活問題だ。完全なマニュアル撮影が可能ならば、その点は心配要らない。

また生物写真の場合、被写体自身の動きを完全に消すことはできない(植物すら風で揺れている)ので、シャッター速度を指定できる(少なくとも、下限値を設定できる)必要がある。もちろん「暗所・高速シャッター」は相反する特性であるから、実用に耐えうる高感度撮影の機能は欠かせない。

レンズが広角に対応していることは、フィールドの概観を記録する上で重要である。広いエリアを写そうと思ったら、撮影範囲が画角に収まるよう後退りするのが常識的な対応だ。しかし林内では、下がった先に川や崖があるかもしれないし、木立が被写体を覆い隠すかもしれない。

記録メディアに関しては、既に持っているものを使い回すためSDカード限定とした。まあ最近のデバイスでは事実上の標準なので、問題なかろう。

無理にとは言わないが欲しい

  1. 防水
  2. ファインダー
  3. カラーバリエーション

実のところ、デジタルカメラに防水性を求めるか否かは非常に悩ましい問題である。というのも2012年春現在、市場に出回っているデジタルカメラのうち、本体が防水(防塵)性能を有する機種は二極分化している:低~中価格帯コンデジの一部と、一眼レフのプロ用モデルである。前者の代表例はアウトドア志向のカメラ(これまで使っていたOptio WPiもそうである)であり、上述したマニュアル機能を備えていないことが多い。後者は素人に手が出せるものではないので、ここでは考えない。

つまり、防水を条件に加えた時点でカメラの選択肢が極端に狭まってしまう。逆に、カメラが防水である必要性を考えてみよう。答えは簡単で、雨に降られたり沼(海・プール)に落とされたりした後でも、撮影を続行するためである。撮影済みのデータに関しては、電源の入っていない状態で一回濡れた程度なら、簡単に消えるものではない。従って実際のカメラ選びにあたっては、「他の条件が似たり寄ったりなら考慮する」程度がよいだろう。もちろん、沼沢地帯にお住まいの諸兄姉方は大いに検討すべきだ。

光学ファインダーを内蔵していることは、少し前までのカメラ選びでは必須条件だった。理由は主に2点で、まず「両手+頬」でカメラを三点支持することは、手ブレを防ぐための基本だからである。そして、野獣やキハ58のような移動体を撮影するためには、ファインダーを通して動きに追随することが好ましい。ところが近年の技術進歩は目覚しく(人心は荒廃した)、手ブレ補正および高感度域でのノイズ低減、背面液晶の高画質化により、ライブビューだけでもそれなりの写真が撮れるようになった。今やコンデジでは、中高級機でもファインダーをオプションにするのが趨勢である(富士フィルム製品等の例外はある)。機種選択の幅を狭めないためにも、ファインダーの有無で直ちに切るのは控えたほうがいいだろう。
なお経験的には、最近のコンデジならば犬猫やキハ47の写真はファインダー無しでもどうにか撮れるが、飛んでいる鳥や飛行機はまだ難しい。飛翔体を撮影対象に含めるか否かが、要求仕様の分かれ目だろう。

高性能のカメラといえば大方は黒い。レンズを向けられる側もその辺りは意識するので(さらには軍艦部が「ずい」と突き出していようものなら印象最悪である)、無害な一般市民である我々においては白とかピンクとか、相手に威圧感を与えない色を選べるとgoodだね。

「デジタルカメラ・機種選択編そして戦慄の結末へ」は、現在鋭意執筆中です