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でもやっぱりドビュッシーが最高だと思う今日この頃。

ホーム | 雑記トップ | 日本でもっと評価されるべき作曲家を思いつくまま挙げてゆく

掲載順は作曲家の評価ではなく、単なる執筆順。どんどん追加してゆく。明らかに時代が偏っているが、筆者自身が「クラシック音楽ファン」ではなく「近代音楽オタク」のスタンスなので仕方ない。
以下に紹介する作曲家の作品については、これまでクラシックに接する機会の無かった、あるいは雰囲気に馴染めなかった人にこそ、軽い気持ちで耳に入れて欲しいというのが筆者の切実な願いである。

  1. ボフスラフ・マルチヌー Bohuslav Martinů

  2. チェコ・近代

    チェコ本国ではオケ曲から合唱曲まで広く親しまれているようだが、個人的には室内楽作品が白眉だと思う。非常な多作家で数曲の弦楽四重奏曲、ピアノ三重奏曲を始めヴァイオリンソナタ、木管アンサンブル、果ては九重奏曲まで作っており、それらの大部分が叙情的かつ美しいメロディに彩られている。楽譜の流通状況が改善すれば、日本での人気も爆発するかもしれない。

  3. アルテュール・オネゲル Arthur Honegger

  4. スイス(フランス)・近代

    一応フランス六人組の一人としてクラシック通の間では名は知られているものの、作品を挙げろと言われたら『パシフィック231』程度しか咄嗟に出てこないだろう。それではあまりに勿体無い。
    交響曲はとりあえず全部聴いてほしいが敢えてお勧めは第4番『バーゼルの喜び』である。作風を知る上では『夏の牧歌』と『クリスマス・カンタータ』は欠かせない。ここまでツボに入ったら次は『火刑台上のジャンヌ・ダルク』であろう。他のフランス近代音楽に手を出すきっかけとしても、オネゲル作品の収集は最適な入り口となる。

  5. マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコ Mario Castelnuovo-Tedesco

  6. イタリア・近代

    乾いた哀愁とでも言うべきか、独特の味わいを持つ作品を数多く残している。まずは『ギター協奏曲ニ長調』を聴いてほしい(できればセゴビアの独奏で)。『ギターと弦楽のための五重奏曲』も比較的音源が入手しやすく、親しみやすい作品。

  7. ジェラルド・フィンジ Gerald Finzi

  8. イギリス・近代

    近代イギリスといえば渋い音楽の宝庫だが、何と言っても筆頭はこの人。筆者が中高生の頃は国内で流通しているCDが数点しかなく、本当に知る人ぞ知る作曲家だったのだが、この数年間は動画サイトなどでの紹介が増えてきた気がする。
    入門用としては歌曲集『花輪を捧げよう』や『ピアノと弦楽のためのエクローグ』、『クラリネットとピアノのための5つのバガテル』、『クラリネット協奏曲』あたりが必聴。神秘的な『降誕祭』も押えておきたい。
    ここまで挙げた作品は基本的にノスタルジックで素朴な作風が売りなのだが、ラフマニノフを髣髴とさせる『チェロ協奏曲』や、オーケストラと合唱がウォルトン顔負けの咆哮を聴かせる『霊魂不滅の啓示』など、実はかなり懐の広い作曲家である。1956年に没しており、日本でも間もなく全作品がパブリックドメインになる。今後はアレンジによる演奏機会も増えることだろう。

  9. ジャン=ミシェル・ダマーズ Jean-Michel Damase

  10. フランス・近現代

    1928年生まれで存命中の(追記:2013年に亡くなりました)、フランス作曲界の重鎮。作風はガチガチの新古典主義であり、協奏曲とハープ曲に佳作が多い。数年前まで音源を捜すのが一苦労だったが、今はトップアマや音大生の演奏動画がYoutubeに沢山上がっているので、気軽に楽しめるようになった。

  11. ロベルト・シューマン Robert Schumann

  12. ドイツ・ロマン派

    いや、有名ですけどね。この人の交響曲については、オーケストレーションが厚すぎるとして批判の対象になることが多い。しかし常にユニゾンのほうが、乗り物内や肉体作業中のBGMとして聞き流すには便利なのである。

  13. パーシー・グレインジャー Percy Grainger

  14. オーストラリア(イギリス)・近現代

    吹奏楽をやっていれば名前は耳にしたことがあるかもしれない。作風を簡単に知りたければ『リンカンシャーの花束』「組曲『早わかり』」あたりを漁ってみると良い。民謡に題材を得た(一見)親しみやすいメロディと、意味不明な楽曲構成。『不変のド』はアンサンブル・リベルテ吹奏楽団の名演がある。

  15. モーリス・デュリュフレ Maurice Duruflé

  16. フランス・近代

    日本では『レクイエム』がそこそこ有名。もう一つ、ぜひとも聴いてほしいのが『グレゴリオ聖歌による4つのモテット』である。一曲目の Ubi Caritas で早々と涙腺が屈服する。

  17. ウォルター・ピストン Walter Piston

  18. アメリカ・近代

    交響曲(お勧めは6番)のCDはNaxosあたりで手に入るので、気に入ったらレパートリーをぼちぼち増やしてゆけば良い。渋い新古典主義音楽であり、技法も恐ろしく教科書的である(実際に和声法や管弦楽法の教科書を書いている)。

  19. レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ Ralph Vaughan Williams

  20. イギリス・近代

    本稿でRVWを取り上げないのは個人的なこだわりに反するので、満を持して登場。なおファーストネームは「ラルフ」ではなく本人が「レイフ」と読ませており、またVaughan Williamsでひとつながりの姓である。
    もちろん交響曲は全部聴くに越したことはない。海、ロンドンと作曲年順に手を付けるとよいだろう。時間がない人は、協奏曲から入ることを強くお勧めする。たぶん知名度が最も高いのはチューバ協奏曲かオーボエ協奏曲で、いずれも名曲なのだが、大穴はピアノ協奏曲である。なぜこのドラマティックな作品がイギリスでも日本でも埋もれているのか、筆者は理解に苦しむ。
    吹奏楽曲なら「トッカータ・マルチアーレ」、声楽曲だと「音楽へのセレナード」あたりは外せない。後は歌曲の「旅の歌」を、ブリン・ターフェルのバリトン独唱で(名盤)。

  21. スティーブ・ライヒ Steve Reich

  22. アメリカ・現代

    ライヒと言えばミニマル・ミュージックである。それがどのような音楽であるかは一聴すれば分かるので、とりあえず手に入る音源から手を付ければよい。彼の作風の変遷について軽く述べておくと、初期(1960-70年代)の作品では比較的単純なフレーズ(リズム)を繰り返して演奏し、その演奏タイミングを次第にずらしたりフレーズを少しずつ変形させたりして複雑な効果を生み出すというミニマルの特徴が体現されている。1980年代以降は、作曲家自身のルーツであるユダヤ人の歴史が題材として頻繁に取り挙げられるようになり、また色彩的なオーケストレーションが目立つようになる。個人的には「管楽器、弦楽器と鍵盤楽器のためのヴァリエーション(1980)」や「テヒリーム(1981)」、「ディファレント・トレインズ(1988)」あたりが好みである。
    余談であるが「フラクタル(2011)」というTVアニメの第2話BGMに、「テヒリーム」によく似た構成の曲が使われている。製作スタッフの中にライヒ好きな人がいて、劇伴作曲家にリクエストしたのであろうか。

  23. フランシス・プーランク Francis Poulenc

  24. フランス・近代

    このコーナーを始めて1年近く経った。よくよく考えてみたら俺たちのヒーローであるプーランクを紹介するのを忘れていた。上でオネゲルを出したので早く追加執筆しなきゃなぁと思っていたのですが、とてもとても畏れ多くて。
    私がラジオでこの人の作品を最初に聴いたのは中学の1年だか2年のときで、たしかバレエ音楽「雌鹿(1923)」か「2つのノヴェレッテ(1927)」のいずれかだった。当時は20世紀フランス音楽をとにかく貪欲に聞きかじっていて、どちらかと言えばオネゲルやミヨーのほうが面白いという印象だった。印象が変わったのは自分で作編曲をやるようになってからである。
    メロディ作りにかけてはまさに天才という言葉が相応しい。円熟期に書かれた数々の宗教音楽(たとえば「アッシジの聖フランシスコの4つの小さな祈り(1948)」や「グロリア(1959)」)は必聴だし、ピアノ曲も佳品揃いである(個人的なお薦めは「8つの夜想曲」)。

  25. ニーノ・ロータ Nino Rota

  26. イタリア・近現代

    一般には映画音楽の作曲家として知られている(たとえばフェデリコ・フェリーニ監督作品や「太陽がいっぱい」、「ゴッドファーザー」など)。まあ優れた映画音楽が作れるということは、とりもなおさず構成力とメロディの引き出しを持ち合わせていることを意味しており、純音楽にも面白い作品が幾つかある。個人的にお薦めを挙げるなら交響曲第3番あたりである。

  27. ゲオルグス・ペレティス Georgs Pelēcis

  28. ラトビア・現代

    1947年生まれの作曲家・音楽学者。ハチャトウリャンの弟子であるが、作風はむしろ叙情性が前面に出ている。代表的な作品としてはピアノ協奏曲「白鍵」(日本では1990年代にNHK-FMラジオで紹介されたことがある)や"Nevertheless"(ヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲。ギドン・クレーメルの独奏による録音が、「白鍵」と共にリリースされた)が挙げられる。他にお薦めの曲として"In Honour of H Purcell"や"Revelation"など。いずれもYoutubeで演奏が公開されている。

  29. ポール・ミーラー Paul Mealor

  30. イギリス(ウェールズ)・現代

    1975年生まれの作曲家で、代表作が「スターバト・マーテル」や「ウビ・カリタス」であることから分かるように、教会用の合唱曲で評価を受けている。作風はというと、このページでも既に紹介したフィンジやウィリアム・ウォルトン等イギリスの教会音楽の流れを引き継ぎつつ、アカペラサウンドの透明感を徹底的に追求し、独自の境地を切り開いている。今後さらなる活躍が期待される。

  31. エリック・ウィテカー Eric Whitacre

  32. アメリカ・現代

    1970年生まれ。彼の作品は吹奏楽と合唱に綺麗に2分されていて、日本でも両分野で別々に紹介され、それなりに演奏されている。同時に作風も、極端に動的なもの(吹奏楽曲ではEquusやGhost Trainの第1曲、合唱だとThe City and the Seaなど)と静的なもの(吹奏楽だとOctober、合唱ならLittle treeやSleepなど)の対比がはっきりしている。日本人にとって、アメリカのクラシック音楽に接する機会は意外と少ないものだが、ウィテカーの楽曲からは今日のアメリカ音楽に綿々と受け継がれてきた、アカデミックな要素をもうかがい知ることが出来る。

  33. アーヴィング・ファイン Irving Fine

  34. アメリカ・近代

    1914年生まれ。この人は以前取り上げたウォルター・ピストンの弟子で、ご多分に漏れずブーランジェにも学んでいる。つまり最強である。作風は本稿で取り上げてきたアメリカ人作曲家のそれを大きく外れるものではないが、より瑞々しさを前面に押し出したものとなっている(まあ早世したので若いときの作品しか残っていないという理由もあるけど)。コープランドあたりの作品をあらかた聴き尽くしてしまった人は手を出すと良いだろう。一押しは声楽作品である The Choral New Yorker (1944) や Music for Piano (1947) あたり。

  35. マイケル・トーキー Michael Torke

  36. アメリカ・現代

    1961年生まれで、シュワントナーの弟子筋にあたる。なんだか最近アメリカの作曲家ばかり紹介している気がするが、まあ本ページの趣旨に沿って厳正に選んだ結果なので致し方ない。上のウィテカー同様、多分この人もアメリカ作曲界の様々な要素を引き継いでいる正統派であり、わかり易い調性感とか叙情性とかジャズ要素とかを無理なく取り入れて、自分の作風を確立している。羨ましい限りである。代表作の Javelin (1994) は管弦楽版と吹奏楽版があり、どちらも優れたアレンジなので聴き比べてみると良い。独奏マリンバとオーケストラのために書かれた "Mojave" やサクソフォーン四重奏曲の "July"、吹奏楽オリジナルの "Grand Central Station" も、数時間リピートで聴き続けても飽きない程の良く練られた楽曲である。

  37. シャルル・トゥルヌミール Charles Tournemire

  38. フランス・近代

    1870年生まれ。オルガン奏者としての知名度の方が高いかもしれない。活動時期的にはドビュッシーの一回り後、サティやラヴェルに近いが、作風はより以前のフランス音楽すなわちダンディやベルリオーズに近いものがある。というわけでズバリおすすめは8曲の交響曲だ。もちろんオルガンやピアノの独奏曲もある。完パケされた楽曲もさることながら、録音で遺されている即興演奏も素晴らしい出来で、ぜひとも "Fantaisie-Improvisation sur I'Ave" など聞いていただきたい。この即興演奏はトゥルヌミールの割と後期の作風を反映しており、調性感を残しつつも印象派の和声を大胆に取り入れ、楽式もより自由に展開されている。なお気に入ったら(次世代のオルガン作曲家である)ジャン・アランあたりも聴いてほしい。

  39. カール・ステーンハンマル Carl Wilhelm Eugen Stenhammar

  40. スウェーデン・ロマン派

    1871年生まれ。上のトゥルヌミールと同時代。そもそもスェーデンのクラシック系作曲家を列挙できる日本人はほとんどいないと思う(せいぜいアルヴェーンとかラーションとかペッテション=ベリエルとか)。ステンハンマルは最も知名度がある一人だろう。ニールセンやシベリウスやグリーグの大衆的人気には勝てないかもしれないが、20世紀初頭の世界的作曲家であることは間違いない。こちらもお勧めは交響曲(3曲)で、特に交響曲第2番ト短調作品34は日本のプロオケも時々取り上げている。全編にわたってザ・北欧な旋律が弦やホルンでぶちかまされる、エモい交響曲である。なお他の北欧(特にスウェーデン)の作曲界だが、総じて音が古い。20世紀前半いっぱいまでロマン派を引きずって、その後いきなり現代音楽に行ってしまう。例えるならヒンデミットもリヒャルト・シュトラウスも出なかったドイツ音楽か。

  41. ジョン・アイアランド John Nicholson Ireland

  42. イギリス・近代

    彼を紹介していなかったのは不覚であった。1879年生まれで、ほぼ同時期に RVW がいる。アイアランドの作風を大雑把にまとめると RVW のイギリス的・田園的な要素に、印象派のサウンドやドイツロマン派の劇的な構成を持ち込んでいる。個人的なお勧めは「ピアノ協奏曲変ホ長調」「コメディ序曲」「ダウンランド組曲」、またピアノ曲の「デコレーションズ Decorations」や歌曲の「海への憧れ Sea fever」など。個人的には、この人は日本でもドボルザークやプーランク並みに評価されて然るべきだと思う。交響曲作家ではないがピアノ独奏や歌曲から巨大なオーケストラまでそつなく書きこなし、全く古さを感じさせない音作りな上、とにかくメロディ作りがうまい。

  43. ウィリアム・ウォルトン Sir William Turner Walton

  44. イギリス・近代

    ウォルトンは後記でチラリと書いていたのだが(下を見よ)、本人を紹介し忘れていた。なんてこった。筆者の人生に少なからず影響を与えた音楽家である。日本では吹奏楽アレンジがそれなりに演奏されていたので、1990年代に吹奏楽の、それなりに大きなバンドに在籍していた人ならば「ヘンリィ五世」「審問」「お気に召すまま」「管弦楽のための“ジョージ・バーナード・ショー”的素描」など吹いたことがあるかもしれない。筆者は中学生の頃、それらの吹奏楽アレンジや「戴冠行進曲『王冠』」「ベルシャザールの饗宴」といったオリジナルの演奏をNHK-FMラジオで聴いた。ラテ欄で近代音楽の放送情報を見つけたら、何日も前から空のカセットを用意して、録音したテープが擦り切れるまでヘヴィロテした。もちろんイギリス作品は最優先の監視対象である。

    やがて自分でもウォルトンやラヴェルやコープランドを演奏したいと思うようになったのは自然な流れだった。通学圏内の普通科高校で男子が入れて吹奏楽部の強いところが、地区トップの進学校だけだったので、当時成り行きで所属していた運動部を退部して受験勉強に励んだ。何とか受かったため入学式の直後から早速入部し、高3の8月まで文字通り吹奏楽漬けの毎日を過ごした。色々あったが濃密すぎて書ききれないので、そのうち項を改めて記したい。

    結論から言うとバンドの選曲方針の変動で、筆者の入部直後から吹奏楽オリジナルばかりを演奏するようになったため、近代作品のアレンジを演奏する夢は終ぞ叶わなかった。部活を引退してからは楽器を買う金がないという至極単純な、しかしぐうの音も出ない理由で音楽から離れてしまい、20年が経とうとしている。中学の頃の筆者が抱いていた近代音楽への憧れは、今も心の奥底に蠢いている。時折何かの拍子に暴れ出しては、自意識の表層部に引っ掻き傷を残してゆく。

    湿っぽい話になってしまったが、吹奏楽であまり演奏されていないウォルトンのレパートリーも一通りお勧めを書いておく。まずは 1937 年に書かれたオーケストラと合唱のための華やかな楽曲 "In Honor of the City of London" である。器楽曲に比べて合唱付き作品は吹奏楽編曲の機会が少なく、日本のオケで取り上げられることも稀だが、英国音楽のカッコ良さの極致は合唱にある。合唱+オルガンで書かれた "Jubilate Deo" (1971-72) や "The Twelve" (1964-65)、"Magnificat and Nunc Dimittis" (1974)、エリザベスII世の戴冠式のために合唱+オーケストラ+オルガンで書かれた "Coronation Te Deum" (1952) なども必聴だ。またウォルトンが悪友イーディス・シットウェルのナンセンス詩に曲をつけた、朗読(ラップ)とアンサンブル(ないしオーケストラ)のための作品「ファサード」(1921年から)は、初期の諧謔的な乗りに基づく怪作である。

    器楽曲では1925年の序曲「ポーツマス・ポイント」、1929年のヴィオラ協奏曲、1941年の組曲「子供のための音楽」、1947年の「弦楽四重奏曲第2番イ短調」、1970-71 年のギター曲「5 つのバガテル」が出色であるとともに、各時期における作曲者の作風をよく反映している。何がすごいかというと、現代音楽の手法を本人はどうやら研究して理解していたようだが、あくまでわかりやすくロマンに溢れた作風を自己定義した上で、前衛的な音響も小道具としてさりげなく消化し取り入れている点だ。なお吹奏楽コンクールで頻繁に演奏された映画音楽は、第二次世界大戦中に兵役免除のため成り行きで手掛けたものらしく、本人はあまり乗り気でなかったともいう。また後期の作品は、本人がナポリ沖のイスキア島に引き籠ったため、地中海的な陰影を備えている。

(以下、追加執筆)

既に名の知られている人を、どの範囲まで含めるかは由々しき問題である。たとえばラヴェルやラフマニノフは日本でも有名作曲家の部類に入るだろうし、ニールセンあたりも一通りのレパートリーがプログラムに載ったと思う。またウォルトンやレスピーギ、リヒャルト・シュトラウスは、クラ業界と吹奏楽界(=アレンジ)とで情報量が明らかに偏っている。なので今のところは、クラシックのコンサートで個人的にもっと聴きたいと思う作曲家をピックアップしている。

今まで本ページで日本人作曲家を紹介していなかったのは決して他意があるわけではない。関係者や本人が検索で辿り着く可能性を考慮すると滅多な解釈は書けないし、誰を最初に紹介しても角が立つし、(筆者に業界への影響力は無いが)プロモーション上の努力は、基本的には作曲家本人がすべきだからである。